『建築を考えた土地探し 中編』
「建築地を見極める目」
前回、「住まい」の道をつくったところまで書きました。
いよいよ土地を見つけるためのサポートのスタートです。
スタートするにあたって依頼者の方に建築と不動産の両面から見て気づく様々な「考え方」をお伝えしました。
なかなか出会ってすぐにはお伝えしても伝わりにくい内容です。「住まい」の道が共有できたかなと思えたタイミングでお伝えするようにしています。
今回の土地探しで共有した考え方は次の4つ。
「土地がすべてではない」
建築の仕事をしていると半数の方が所有している土地での建築です。その方たちは土地を選ぶ余地はありません。しかし土地から購入される方はどうしても土地に満点を求めてしまいます。満点の土地だからよい住まいができるとは限らないと割り切れると建築デザインを信じられるようになります。
もっとも大切なのは実際に土地に立ったり、周囲を散策して感じる直観です。
「住めば都」
自分たちが体調を崩してしまうような悪条件は除いて、慣れてしまうものがほとんどだと経験しています。逆に怖いのは「今に執着すること」です。今必要な条件は10年後、20年後、30年後も必要だろうかという視点が大事です。
小さな欠点よりも住めば都と感じられる魅力が見つけられればよい土地です。
「設計してみる」
不動産の一般的な査定では東南角地の50坪はよい土地とされます。設計したことがある人はこの土地の設計の難しさが分かるはず。面白そうな土地を設計士と一緒にみて価値の再発見ができると思いがけない楽しい設計ができる土地に出会えるかもしれません。また設計してみて初めて気づく土地面積と建物関係、庭の大きさ、周囲との関係性もあります。
「目に見えない危険性」
先を越されて買えなかった後悔より、焦って買ってしまった後悔の方が精神的にも金銭的にもダメージが大きいです。不動産業界は条件がそろった分かりやすい土地(南道路、整形地、駅が近い、学校が近いなど)は即日売れてしまうことも多いです。今しか買えないと急かされますが、これはものすごくチャレンジだということを認識して頂きたいです。一生住むところですから様々な角度からの検討が必要だと思います。成功事例以上にこんなはずではなかったという事例があるはずです。
こういったことが腹に落ちて肩の力が抜けるタイミングというのがあります。
土地を探すために建築の勉強を依頼者の方と一緒にする時間も大切だと考えます。
この落書きはある検討地で建物を計画すると実は想像している暮らしが難しいということをお伝えするために書いたメモです。