人生バラ色眼鏡
『人生バラ色眼鏡』
過去に一度だけ運勢を見てもらったことがあります。
まだペリカンビルを始める前のこと。
どんなことを言われるのか楽しみであり、恐ろしくもあり。
予想していたよりもいいことをたくさん言ってもらえて前向きになりました。
その前向きな言葉の一つにこんな言葉がありました。
「あなたの人生はこの先バラ色です」
人生バラ色。
単純かつ明快、それでいてどこかノー天気な風格を持つ不思議な言葉です。
バラ色の人生の到来の気配を感じることがなく、お守りのようにしまっていました。
少し変わって写真の話。
手軽な写真を撮ることが好きで、日々の出来事を感じるままに撮っています。
自分で決めた写真のルールがあって、できる限り「見えたまま」を表現することにしています。
「上手いこと切り取るね」と言われることがありますが、いやいや自分にはこう見えているんですと答えています。
家族曰く、毎日見えている景色が綺麗に切り取られて見えているとしたら幸せ者だとのこと。
その時初めて、「きれいだな」とか「素敵だな」と見えているものって、意外と自分だけが感じているものも多いんだと気づかされました。
(足るを知るの性分のせいもありますが)
この時、家族に言われたのが数年前からしまってある例の言葉。
「人生がバラ色に見える眼鏡をかけてるんじゃない?」
そういうことか、、、と笑ってしまいました。
自分はどうも「色々なものがバラ色に見える眼鏡」をかけているらしい。
「あなたは人生がバラ色に見える眼鏡をかけてるから、この先ずっとバラ色ですよ」と10年前に言い当てられたということです。
建築と不動産という日々の仕事は、「バラ色に見える眼鏡」を見つける仕事にも近いかも。
よいものをつくるには、その「目的」や「本質」を考えることが大切です。新しい「居場所」を家族や仲間が膝を突き合わせて考える時間を過ごすうち、何が一番大切なのかが見えてくるものです。
きっと、そういうことを乗り越えると皆さんが「いい眼鏡」を手に入れる。
私たちは依頼者の眼鏡探しを手伝っているんだと思います。
この先ずっと楽しく過ごせますようにと。
「いい眼鏡」が見つかれば、住む場所や家はそんなに大事じゃない。
自分たちの生き方の邪魔をしない空気のような存在で、眼鏡が曇らないような日常が送れる場所さえあれば、それ以上のものはなくても幸せに暮らしていけるはず。その人にあったちょうどいい感じを見つけるのが自分の仕事。
これこそ、自分がやっているデザインだなと思いました。